数学は役に立つか? ~2~

数学に携わる人がよく聞かれる質問であり、数学がしんどいと感じる人が思う疑問なんじゃないでしょうか。
これについて日々の中で考えてきたことが少しまとまったので、少し長めですが興味があればぜひご一読を。

まず「役に立つ」とは何ぞや。
お金になる、娯楽になりうる、新製品につながる、そして日常で使うことが出来る、、、ここら辺がぱっと思いつく「役に立つ」になるんじゃないでしょうか。
さて、数学はこれらの観点から「役に立つ」と言えるのか?以下が私の意見になります!

 


お金になるか

いきなり俗な話題になりましたが大真面目です。自分は大学の学部生の身分なので詳しくは知りません。ただ、率直に言えばお金にはならないと思います。
お金にできても、賞に値する人であったり、学校の先生や教授職だったりと、ごく限られた範囲です。一般社会で生きていく分には中学校、いや、小学校の算数でも事足りると感じます。義務教育なんてくそくらえです。

ただ、限られた範囲でのみお金になるのは数学だけでしょうか?例えばサッカー。これなんて、プロになれるのはたった数パーセントの人ですが、「役に立つのか」なんてことを聞く人はいません(「娯楽だからだ」なんて意見はまた後で書きますのであしからず)。「お金を稼げるかな?」、転じて「役に立つかな?」なんて考えながらサッカーしてる人はあんまりいないんじゃないでしょうか。

(claim:精神力や体育会系特有のコミュ力は就職等に有利。--数学での柔軟な思考、良好な成績は就職等に有利。これにより相殺)

だらだらと書きましたが言いたいことは、「役に立つかどうかは、お金になるかではない」「物事をやるかどうかはお金になるかどうかではない」ということ(反例を一つ上げただけですので、厳密には言い切れませんすみません)。この観点から数学が役に立つかは判定しがたいでしょう。

 

娯楽になるか

なります。

あら、このセクション終わりですね。

...さすがにこれだとひどいので少し書きます。

娯楽になるか、という問いに答えるには、数学を娯楽に感じている人を見つければいいわけです。私です。

知的好奇心を満足させ、問題解決いや問題を発見した時でさえ楽しさを感じさせるのが私にとっての数学です。ナンプレも数学か怪しいですが楽しいですね。また、一世を風靡したパズドラやツムツムはコンボの倍率計算・確率、ポケモンGO連立方程式なしには成り立たないゲームです。直接的にも間接的にも数学は娯楽になりえるんです。

なんか強引な感じがした人は、した人こそ、次のセクションへどうぞ。

 

新製品につながるか

 新製品につながった発見として、最近では青色発光ダイオードBlu-rayの、歴史上ではペニシリンは抗生物の、といった例が挙げられます。数学は絡んでいませんね。いえ、実は絡んでいるんですが、絡んでいないように見えるんです。

そんな簡単には納得できないと思うので、自分的に気に入っている例え話を一つ。

 

数学とは土を耕すことである。そこに物理学が種をまき、化学や応用物理学が水を撒いて世話をし、論文として収穫され、企業の開発部がそれを加工・調理して、やっと消費者に届く。

完成された料理を見て育つ消費者は、土を耕す数学者を見て「なんだあの馬鹿は土なんか掘って、あんなところから味噌汁が出てくるわけないじゃないか」と思う。でもちゃんと美味しい味噌汁につながってるわけですよね(数学者が味噌汁につながっていると知っているかどうか、私は知りません)。

 

要は、数学の発見が消費者の手元に届くにはある程度の年月が必要で、その形も大きく変わり、原型はわかりずらい、ということです。

事実、数学から物理学につながる段階で何年何十年とかかることもあります。というか、トップで研究する数学者から、それを確かめてわかりやすくする数学者までの過程も無視できないですし。

また、どんなに耕しても種をまいても不作になることはあります。でもそれは無駄ではなく、経験になり、肥やしになるんです。無駄に見える物もいつか花開くんです。

そう考えるのは私のロマン...だけではないと信じます。

 

結論:新製品にちゃんとつながってます。つながります。つなげます。

 

日常で使うことが出来るか

うーん、難しいですね。数学科の先輩院生は「暇があれば数学をする、はまだまだ未熟で、夢の中で数学するようになったら数学者だ。」なんて言ったりするんですが、正気の沙汰ではないっす。自分も時々数学者になれているので正気ではないんでしょうが。

 

話がのっけから逸れたので戻します。

数学を日常で使うのはレジでのお釣りの計算くらいで、これも数学というより算数です。弟が△分前に〇㎞/hで歩いて行ったから□㎞/hで追いかければ◇分で追いつける!なんてやってる人は見たことも聞いたこともないです。前のセクションで書いた通り、数学を使っているものは皆さん使っているはずですが(今見ているPC、スマホにも数学は隠れています)、ほとんどの皆さんは日常で数学を使うことはないと思います。

 

ただ、こう考えてほしいんです。日常で数学を使えたら、考えることが出来るようになったら、楽しいですよ。小さいころ、ゲームの攻略法を必死に考えたり、漫画の展開を予想したりしましたよね?今となっては少し幼稚で色あせてしまったかもしれませんが、数学ならあのワクワク感を、ちょっと大人になった今でも楽しめますよ。どうですか。身構えてやる必要はないんです。興味を持てる数学を見つけてみませんか。

 

また話が逸れました。しかも引かれる方向に。申し訳ないです。

結論としましては、日常で使うことはまずないでしょう。しかし、数学で培われる思考力や発想の柔軟性なんかは日常的に生かしてもらえると、少し数学に携わっている身としては嬉しい限りです。

 

 

まとめ

お読みいただきありがとうございます。いかがだったでしょう?

個人的には数学は役に立つ、というテンションで書いてまいりましたが、結論付けは皆さんにお任せで...

数学、楽しんでみようかな、と思ってくれた方には多湖輝「頭の体操」、イアン・スチュアート「数学の宝箱」をパラパラ読むことをお勧めします。

数学が苦手で見たくもなかったという方には前者、ちょっと得意だったんだけど途中からよくわからなくなったという方には後者が良いかな、という感じです。

バリバリに数学やってる方は勝手にやってください。Green-Taoなんかがせきゅーんさん(http://integers.hatenablog.com/about)がブログにあげていておススメです。自分には難しすぎましたが。

 

それでは、また。

 

カトウ